新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、手指やいろいろな場所を消毒する努力を多くの人がしています。そのため消毒用アルコールが品薄になり、入手しにくくなっています。
消毒用アルコールはエタノールが主成分ですが、似たようなものとして「無水エタノール」というものがあります。これでも消毒できるのでしょうか?
実は消毒用エタノールと無水エタノールは、エタノールの濃度が異なります。そのため消毒の効果に差があります。詳しくは以下で紹介します。
無水エタノールはどこで買える?
インターネットショップ
無水エタノールを入手する一番簡単な方法は、インターネットショップから購入する方法です。
例えば以下のようにAmazonや楽天市場で購入することができます。
以上の商品を比較しただけでも、容量当たりの価格に大きな違いがある商品があることに気付かれたでしょうか?
大別するとほぼエタノールのみのものと、微量のイソプロパノール(イソプロピルアルコール)を添加した「無水エタノールIP」があります。ほぼエタノールのみのものは酒税法の対象となるため価格が高くなってしまいます。ところが飲めないイソプロパノールを添加することで対象から外れますので、「無水エタノールIP」は安くなります。
どちらを選ぶかを決めてから注文しましょう。
ドラッグストア・薬局
通常は、ドラッグストアや薬局で無水エタノールを購入することができます。店舗によっては取り扱っていなかったり、品切れになっていることもありますので、近くのドラッグストアや薬局で見当たらない場合は、Amazonなどで注文してしまう方が手間がかからないでしょう。
無水エタノールの消毒効果は?
まず消毒用アルコール(エタノール)とはどのようなものであるのか説明します。消毒用アルコールにはいくつかの種類がありますが、一般の人に関係のあるものとしては基本的にはエタノールと精製水から作られたものです。
日本薬局方で規格が定められていて、エタノール濃度が76.9~81.4vol%(*体積濃度です!)に調整されています。この濃度に調整すると消毒効果がもっとも高くなるためです。詳しくは以下の記事をご覧ください。
関連記事:エタノール消毒の原理は?濃度の理由は?掃除では薄める?
無水エタノールとは、エタノールを99.5vol%以上含むのものです。基本的には「ほぼ純粋なエタノール」と考えてよいでしょう。前述の日本薬局方の消毒用アルコールの規格から外れており、消毒効果は大きく低下します。そのまま消毒用に使用するには適していません。
消毒に使用するのであれば、「消毒用アルコール(エタノール)」を購入した方が良いでしょう。ところが最近は消毒用アルコールの入手が難しくなったため、無水エタノールが入手できた場合は、それを希釈して消毒用エタノールを作ろうとする方もいらっしゃいます。
無水エタノールを希釈して消毒用エタノールを調整する場合は、不純物の混入を防ぐために通常は「精製水」を使用します。また「体積濃度」と「重量濃度」を間違わないようにしましょう。体積は温度でも大きく変化しますので、重量濃度に変換し、重さを測って混ぜる方が簡単です。
最近は無水エタノールも品薄になり、入手が難しくなっています。消毒用エタノールを調整するために入手する場合でも、まずは消毒用エタノールが本当に販売されていないかをよく調べてから注文した方が、手間を省ける可能性があります。
無水エタノールの使い道は?電気機器の掃除
無水エタノールと消毒用アルコール(エタノール)の違いを説明しましたが、両者が違うとするとそもそも無水エタノールの使い道が何なのか気になりますね。一般の人にとってもっとも関係のある使い道は、水を使い難い電気機器の掃除です。
パソコンのキーボードなどは、凹凸があってホコリや汚れがこびりつきやすいです。ところが電気機器ですので、水拭きをするとショートしたり、漏電したりする原因となりやすいので、水拭きは厳禁です。
そこで無水エタノールの出番です。エタノールは水とも油とも相性が良い「両親媒性」という性質があります。わかりやすく説明すると、水性のインクで書いたものは水で拭き取りやすく、油性のインクで書いたものは有機溶剤などの方が拭き取りやすいです。
このようにそれぞれの汚れに相性の良いものを使うと汚れが落としやすいのですが、エタノールならば水系も油系もどちらとも相性が良いという優れた性質があるので、いろいろな汚れをこれだけで落とせるわけです。さらに水を含まずに揮発しやすいという性質があります。
つまり、無水エタノールで拭けば、拭き取りの作業が必要なく、短時間で揮発して無くなってくれるわけです。この性質があるので、電気機器でも電源を切り、無水エタノールで掃除をすれば、揮発して無くなるので故障の原因になり難いわけです。なお無水エタノールを使用したことによる故障等のトラブルの責任は負えません。以下のような点にご注意ください。
*パソコンのキーボードのような外部に露出している部分について説明しました。パソコンの表面でも、素材やディスプレイ画面によっては無水エタノールの使用に適さない可能性がありますので、取扱説明書などでご確認ください。
*機器の内部の電子回路などは、電源を切ってもコンデンサーなどが電気を溜めている可能性があります。エタノールは引火性の危険物ですので、そのような場所に使用することは危険です。基本的にはユーザーが手を触れてはいけないよう場所に使うのは避けた方が良いでしょう。
無水エタノールの使い道は?カビの掃除
無水エタノールを水で薄めて、消毒用アルコールと同じ濃度にすれば、汚れた部分を掃除しながら消毒効果も発揮できます。スプレーボトルに重量比で無水エタノール80%、水20%の割合で入れ、消毒用エタノールの濃度に調整します。これをカビが気になる場所に吹きかけます。
キッチンペーパーなどを置いてから吹きかけると、直接吹きかけるよりも長い時間カビにエタノールを接触させられますので効果がアップします。その後に乾いたキッチンペーパーや布で拭き取りましょう。
エタノールは引火性の液体なので、作業中は火気厳禁です。換気を良くして使用しましょう。
無水エタノールの使い道は?インク汚れ
水性のマジックでの落書きや汚れは、水拭きで落とせる場合もありますが、油性のマジックとなると水拭きでは落とせません。こんな時も無水エタノールならば両親媒性の性質を利用して落とせる場合があります。柔らかい布などに無水エタノールを付けて拭き取りましょう。
無水エタノールは手の皮脂も奪います。素手で作業をすると手が乾燥する可能性がありますので、手袋をした方が良いでしょう。
エタノールは引火性の液体なので、作業中は火気厳禁です。換気を良くして使用しましょう。
無水エタノールがどこで買えるのかについてこちらの記事で紹介しています。
まとめ
無水エタノールの消毒効果と使い道について紹介しました。その性質を正しく理解し、安全に使用しましょう。
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消毒用アルコールと界面活性剤によるウイルスと菌の消毒について
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